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2013年 05月 24日
travaux pour le concert
5月12日(日)
連休後半から、5月25日に芸大の大学会館である中村典子さん率いるクラムジカのコンサート『アジアの管絃の現在』のための舞台美術に取り組む。
舞台美術といっても、目的の中心は、残響音がひどい大学会館ホールのコンクリ壁面を布で覆って、音響効果を改善することだから、より正確には「音響改善美術」。

いつもはフライヤーやプログラムのグラフィックだけなのだが、今回は音響の改善を依頼された。

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最初に引きだしたのが、10年以上前、京都芸術センターでのコンサート「画家の仕事とその周辺」の舞台美術でつくった絵。あのときは縦4m弱の絵を4枚描いた。
プーランクだから、フレンチモダン風にレモンと窓の絵をそれぞれ2点ずつ。
コンサートの2時間だけ人前に出たあと、10年以上巻いたままアトリエの2階倉庫に眠っていた。
やはりシワがついている。
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筒縫いになったニット地の布(幅約45cm、長さ約6m)に竹を差し込んで立体化する。
単位の円の直径は約85cm、膨らみは30cmほど。長さは約6m。これを6本、壁に吊るす。
このかたちは、シンフォニーホールなどの壁面設計と、畑のビニール栽培から発想した。
5本の横線は、五線譜を参照している。

布は、故・難波道弘さんの染織工場に残っていたものを小野和則さんから送っていただいた。大事に使わねば。
岡山時代のこと、「アートワークみの」での作品『100年の空』を思い出す。

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一部を吊るしてテストしてみた。

だがなかなか大規模な仕事だ。
予想外に作業量が多い。

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5月21日(火)午後7時
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総合基礎の合評のあと、ホールで布立体8個を組み立てる。

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5月22日(水)午後1時
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学生の矢野君と金津さんに手伝ってもらって、吊るし始める。
演奏の練習時間のあい間を縫っての作業。

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とりあえず吊るし終える。
残響が半分に減ったと、中村典子先生には喜んでいただいた。

このあと高さやかたちの調整。1人なのでけっこうやっかい。

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5月24日(水)、演奏会前日。
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照明との兼ね合いの調節のため、来てみたら、学生の城田さんがつくった布が床に落ちていた。
泥染に板締めで藍染めをほどこした意匠は悪くないのに、紐の縫い付け部分が弱く、ちぎれたのだ。
彼女は教育実習でいない。
紐を縫い直していると、染織のひろいのぶこ先生が心配そうに見に来られた。

企画者の中村典子先生も、学生の練習や勉強時間を削がないよう気を使って、自分で机や椅子まで運んでおられる。
教員というのは、まったくサービス業だなと思う。

by peuleu3 | 2013-05-24 23:21 | design


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