2014年 01月 28日
Klezmer
1月27日(月)
大先輩作家の坂爪厚生さんの個展の案内状をデザインしながら、iTunesで音楽を聴いていて、ふと "Klezmer"という民俗音楽のジャンルのことを知った。
(日本語では「クレズマー」。知ってる人は知ってるとのこと。『ドナ・ドナ』もそう。)
"Klezmer"とは、中欧・東欧のアシュケナジム系音楽で、15世紀にさかのぼるユダヤ系音楽の一系譜。1970年代から欧米の若いユダヤ人音楽家たちのあいだで細々と再興されるようになった。
現代の代表的なグループに"KlezRoym"と"Khevrisa"がある。
Khevrisaの弦楽器を中心にした正統派のアプローチに対し、イタリア人音楽家バンドのKlezRoymは、アラブやジプシー音楽の香り漂うKlezmerの伝統に、地中海音楽やジャズの要素を融合させるアプローチで、摩訶不思議な音楽を奏でる (結成は1995年)。
彼らのデビューアルバム"KlezRoym"(1998)を聴いていて、驚いた。
昔、江利チエミが歌っていた"Uska Dara"とそっくりな曲がある。

"Uska Dara"は、ユスキュダル(イスタンブルの一部)へと旅していく女性とその秘書についての物語を歌ったトルコの民謡「キャーティビム (Kâtibim)」にもとづいているそうで、1953年にアーサー・キット (Eartha Kitt) が歌った。その日本版である江利チエミの『ウスクダラ』は、歌詞のなかにむちゃくちゃなトルコ語が入っていて、ラジカルな無意味性と無国籍性には吹き出す。

1950年代〜60年代初期の日本の歌謡曲には、とてもアナーキーで無国籍な一面がある。
聴いていると、どこかまったく知らない世界に連れて行かれる。
おそらく幼年期、いや生まれる前に、ラジオか何かで流れていて、耳の奥にすり込まれたのだろう。
僕の音楽体験の原点といえるのかもしれない。

僕のワールド・ミュージック開眼は、"Radio Tarifa"がきっかけだった。ジブラルタル海峡を臨む港町の大衆食堂のラジオ。あそこにも自分の生前の音の記憶につながる何かがあった。
このところ西アフリカやカーポ・ヴェルデに傾倒しているが、中東にもなぜか魅かれる。

とにかく、あのような無国籍なアンテナで作品をつくりたいものだ。
美術でそれが可能だろうか。

*素人だからこそのメモ:
Smithsonian Folkwaysは、世界の民俗音楽に関する良質のサイト。

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by peuleu3 | 2014-01-28 11:13 | note


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